「僧帽弁閉鎖不全症」に対する「僧帽弁形成術」は、心臓ロボット手術(心臓ロボット支援下手術=ダヴィンチ)が保険適用でできる心疾患です。ただ、それ以外にも、保険適用でロボット手術を受けることができる疾患があります。それは、弁形成術一般として「三尖(さんせん)弁閉鎖不全症」で、手術は「三尖弁形成術」。これは大動脈弁や肺動脈弁にも当てはまります。
三尖弁は僧帽弁の隣にある弁。僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、三尖弁は右心房と右心室の間にあります。三尖弁閉鎖不全症は、僧帽弁と同様に弁が閉じにくくなる疾患です。
ただ、三尖弁だけが悪くなるということは、あまりありません。多くは僧帽弁が閉鎖不全症になり、それによって悪くなるという進行になります。僧帽弁が悪くなると、血液の逆流などが起き、それが右心室を介して逆行的に影響を与え、三尖弁が漏れるようになるのです。
僧帽弁側の左心室からは大動脈へ血液が流れるので、血圧が200を超えることもあります。そういう時は僧帽弁の糸が弱い人の場合は、それが伸びたり切れたりすることがあります。一方、三尖弁側の右心室は肺に血液が流れる肺動脈なので、あまり圧が上がることはありません。
僧帽弁だけが悪いというときは、まだ初期の段階と考えられます。それが三尖弁にも及んでいると、「これはかなり進行した状態」と、私たちは受け取ります。そして、僧帽弁形成術を行うときに、三尖弁形成術も一緒に行うケースがかなりあるのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

