「心臓弁膜症」の患者が増加しています。推定患者数は200万人以上で、手術は多く行われています。その心臓弁膜症で手術を受ける患者さんの97%が、すでに説明済みの「僧帽弁閉鎖不全症」と、今回取り上げる「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」です。

血液は心臓を出ると大動脈を通って全身に行き渡ります。その心臓の出口にある弁が「大動脈弁」で、そこが手術になるときは、大動脈弁狭窄症が原因です。大動脈弁は3枚の柔らかい葉っぱのような弁尖(べんせん)でできています。大動脈弁狭窄症はその弁が硬くなって開きが不十分になり、血液が十分に送り出されなくなるのです。進行してしまうと「座っていても息が切れる」状態にまで進行します。それは、死が目前に迫っている状態です。

柔らかい大動脈弁が硬くなる多くの原因は、石灰化。米国的な食生活が災いして動脈硬化が進行すると、弁尖に石灰化が起こるのです。動脈硬化が原因なので、糖尿病のコントロールが悪い人や高血圧の人はよりリスクが高い。そして、進行すると手術選択になります。

手術は、現時点では残念ながら「心臓ロボット弁置換手術(心臓ロボット支援下手術=ダヴィンチ)」は保険適用にはなっていません。現在保険適用なのは、<1>「人工弁置換術(機械弁)」、<2>「人工弁置換術(生体弁)」、<3>「患者自身の自己心膜を使った大動脈弁形成術」、<4>「TAVI(経カテーテル的大動脈生体弁植え込み術)」です。<1><2><3>の手術は心臓を止めて行い、患者さんの91%は胸を大きく切る手術を受け、残り9%が小切開手術を受けています。そして、<4>はカテーテルを使って開胸することなく人工弁を装着する内科的治療です。その手術の詳細は次回に-。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)