心臓ロボット手術(心臓ロボット支援下手術=ダヴィンチ)は、現時点で保険適用になっているのは心臓弁膜症の1つの「僧帽弁閉鎖不全症」で、治療は「僧帽弁形成術」です。この疾患と分かった患者さんでは、どんどんロボット手術を受ける方が増えています。そこで、実際に心臓ロボット手術を受けた患者さんのケースをご紹介します。
50代のAさん(男性)は、通院していた病院の主治医に心臓疾患の病名を告げられました。「肥大型心筋症」と「僧帽弁閉鎖不全症」の2つの疾患を合併していたのです。極めてまれなケースです。主治医は「胸の中央部を大きく切って、の手術になります」と説明。Aさんは、「身体に優しい手術が受けられないものか」と、思い悩んでいました。
そして、私どもの病院に電話をかけてこられました。私は「心臓ロボット手術で両方の病気の手術を行います」と引き受けました。海外の症例でリポートがありましたし、珍しいケースではあっても私はできると確信していました。その手術をAさんに説明すると、Aさんは納得して手術を受けると即決されました。
僧帽弁閉鎖不全症は形成術で行いましたので保険適用。肥大型心筋症は僧帽弁のある心室の弁下部に心筋の肥大があり、治療しないと左室流出路狭窄(きょうさく)から心不全になってしまいます。治療は出っ張っている心筋部を電気メスで切り取ります。切り口に多少出血があっても、心臓の中は圧が強いので出血もすぐに止まります。肥大型心筋症の手術は、保険適用の僧帽弁形成術と同時に行うので保険適用になります。
手術は問題なく終了し、Aさんは1週間の入院で満面の笑みで退院されました。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

