患者さんの口の機能を調べるために、大学病院などで使われている検査材料のひとつに「咀嚼(そしゃく)能力測定用グミゼリー」があります。試験用に作られたグミを自由に30回かんでもらい、その後紙コップに吐き出します。グミの断片をガーゼの上に広げ、どの程度まで細かくなったかを10段階のスコアで判定することにより、咀嚼能率(食べ物を粉砕する力)を把握する目的です。
この検査を行うことで、例えば奥歯を失った方に義歯(入れ歯)を作るとどう変わるのかといった比較ができ、口の力を客観的に判断することができるというわけです。国立循環器病研究センターが中心となっている「吹田研究」においても、動脈硬化性疾患リスクを検討するプロジェクトの中でこの試験用グミが使用されました。咀嚼には歯の数だけでなく、舌で食べ物をキープする力や、スムーズに食塊を移動させるために欠かせない唾液の力なども関わってきます。
こうした検査から得られるデータは、衰えた口の機能を回復させるための手段を導く、いわば歯科治療の鍵にもなります。株式会社明治が消費者を対象に、グミ一粒を飲み込むまでの平均的な咀嚼回数を調べた結果、約30回だったそうです。
昔から「食事はひとくち30回を目安に」といわれるゆえんがここでも垣間見えた気がして、非常に興味深かったです。もし30回よりも大幅に少ない回数で飲み込んでしまっているとすれば、何らかの理由で口の力が弱っているサインです。ゆっくりでもよいので、まずはグミを30回かむ習慣から始めてみましょう。左右の歯を均等に使いリズミカルに動かすことで、そこに付随する筋肉のバランスも整ってきます。どこの筋肉が疲れるかも次第に自分でわかるようになるはずです。

