大腸がんの患者さんで、「間違った思い込み」で苦しまれる患者さんは意外と多いので、2例紹介したいと思います。今回は第1例目として「便潜血検査陰性だから大丈夫、と思い込んで苦しんだ患者さん」のケースを紹介します。

A男さん(70代)は、お尻から多くの出血があったので受診されました。「大腸内視鏡検査」を行うと、大腸がんが見つかりました。そのがんは右側の上行結腸にあって、7センチの大きさでポリープのように盛り上がっていました。最後までなかなか症状の出にくい場所です。

私はA男さんに「どうして今まで検査を受けなかったのですか?」と聞きました。実は、A男さんは15年前に大腸内視鏡検査を受けたことがありました。その時にポリープを切除。その後、2、3年に1度「便潜血検査」受けていましたが、陽性判定の出たことはありませんでした。A男さんは「便潜血検査を受けていたのにどうして大腸がんを見つけてくれなかったのか!」と。それは、そう思いますよ。

ただ、大腸の左側は水分が吸収されて最終的に塊となった便が大腸の壁をこするので陽性になりやすい。一方、大腸の右側の上行結腸は小腸から入ってすぐのところなので、便はどろどろの液状便とあって最後まで陽性になりにくいのです。

「便潜血検査を受けましょう!」というと、「便潜血検査を受けているから大丈夫」と思う人が増えています。しかし、便潜血検査は“必ずしも絶対ではない”ことを知っておくことが重要です。大腸がんで苦しむリスクを減らすために、私からのメッセージは“40歳からは大腸内視鏡検査を受けましょう”。1度受けて大丈夫であれば、次は3年後に受ける。このように内視鏡検査を受けると、大腸がんの早期発見に必ず結びつきます。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)