「膀胱(ぼうこう)がん」で膀胱を全摘すると膀胱の代わりを作る必要があります。それには大きく分けて、<1>「回腸導管造設術」、<2>「新膀胱造設術」の2つ方法があります。前回は回腸導管造設術を取りあげましたので、今回は新膀胱造設術を取り上げます。
新膀胱造設術は、前回取り上げた回腸導管造設術と小腸(十二指腸、空腸、回腸)の回腸を切るところまでは同じです。その回腸を縫い合わせて袋状の新膀胱を元の膀胱があったところに作ります。尿道は残して前立腺までを切除。そして、残った尿道に新膀胱をつなぎ、さらに、新膀胱に左右の尿管を縫い合わせて尿が新膀胱に入るようにします。これで、新膀胱に尿がたまります。新膀胱造設術は手術前のように尿道から尿を出すことができます。
では、新膀胱造設術は膀胱を全摘する前と同じ状態なのか-。実は、残念ながら新膀胱では尿意を感じることができません。尿がたまっておなかが張ってきた、という感じしかわからないのです。また、新膀胱は勝手に収縮しないので、尿を出すときは腹圧をかけて出すようにします。しかし、慣れるまでは残尿が多く、「自己導尿」が必要になることが多いです。自己導尿とは、自分で細い管を尿道から挿入して排尿する方法です。麻酔をかけずに行うことができます。
この新膀胱造設術が適応にならないのは、<1>「尿道にがん再発の可能性がある人」、<2>「自己導尿をすることがあるので、その対応がしっかりできない高齢者」などです。また、新膀胱造設術では失禁のリスクがあります。ゴルフでフルスイングをしたときなど腹圧がかかった時です。回腸導管造設術ではその“漏れの心配”はありません。2つの方法には一長一短があります。主治医としっかり話し合って最善の選択をしてください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

