世界中のほとんどの国で、医療は「医科」と「歯科」に分かれています。

このため、全身の病気と歯や口に生じたトラブルは別々のものと捉えることが当たり前だったのだと思います。歯周病が糖尿病や動脈硬化、がんや認知症などさまざまな病気に関連しているという話題がテレビなどで取り上げられるようになった昨今でも、あまりピンとこないというのが現実かも知れません。ただよく考えてみると、口が体の一部であることは明白で、生きていくために必要な栄養素は食べたり飲んだりという行為の連続で体内に取り込まれています。傷んだものを食べたらおなかを下したという現象はわかりやすいのに、歯の周りにある毛細血管から歯周病などの病原菌が体内を駆け巡る様子は目立ったサインがなく気づきません。歯がぐらぐら揺れる、抜けるといった壊滅的な状況に陥るよりもかなり前の段階から、こうした病原菌は日々全身に広がっています。口の中から血が出るようなことがあれば、まず歯科医院で相談してみてください。長年の蓄積が体にダメージを与えることがわかっていますので、最初の一歩が肝心です。

歯科を受診する際、知っておいていただきたいことがあります。すでに持病があり薬を服用している、あるいはお医者さんから注意するように言われていることがあるという方は、ささいなことまですべて申告してください。全身は1つにつながっていますので、他の部位の病気が原因で口の中に異変が起きている可能性もあります。例えば、高血圧症の方が血圧を下げるために飲む薬の副作用で、歯ぐきがこんもりと腫れてしまうというケースはよく見られます。この場合はブラッシング等のセルフケアを入念に行う必要がありますし、服用する薬剤の種類を変えてもらうといった相談を内科医あてに行っていきます。