世界中を旅して歩いた末期がんのおじいちゃんに、いよいよ最期のときがやってきました。親族・友達が集まりました。おじいちゃんはみんなに「ありがとう。おかげで楽しい人生だったよ」と伝え、それから数時間後に、息を引き取りました。
「おじいちゃんの心臓が止まりました。よく頑張って呼吸をしましたが呼吸も止まりました。瞳孔の対光反射もなくなりました」と告げたら、長男とおじいちゃんの大親友が拍手を始めました。ふたりが前もって相談していたようです。家族、親戚、友達が続いて拍手をしました。
【みんなを納得させた「死」】
「サイコー、サイコー」「アリガトウ」「アノヨデ、マタアオウ」。子どもや親友が声をかけました。おじいちゃんの生き方に、みんなが感動したのです。
医師になって50年。数々の経験をしてきましたが、こんな死の光景は初めてでした。おじいちゃんは農業の仕方を見事に変え、おもしろい生き方に転換しました。
【下山の準備】
こんな具合に、人生を1度、見直してみるといいと思います。それもできれば、やり直しがきく55歳から70歳くらいの間に。
下り坂ではギアチェンジが必要なんです。平地でスピードを出していても、下り坂に入ってきたら、セカンドへギアチェンジをすることが多いのです。下り坂は人生を変えるチャンスなのです。
亡くなるときに、みんなから拍手をもらえるなんて最高。そのためには下山の準備が大事になるのです。

