「LOH症候群(男性更年期障害)」治療の基本は「テストステロン補充療法」です。

日本で保険適応となっているのは「筋肉注射」だけで、「クリーム(塗り薬)」は保険適用外です。そして、テストステロン補充療法にも副作用はあるので十分に知っておきましょう。今回は、副作用として「心血管障害」「多血症」「造精機能障害」などを取りあげます。

◆「心血管障害」 これは心血管系への悪影響です。ただし、現時点では「心臓血管障害を起こす」という意見と、「心臓血管障害から守ってくれる」の両意見に大きくわかれています。心臓、血管に問題のある患者さんは、循環器科などを受診されているので、私はその患者さんの主治医にコンタクトをとって対応を判断します。循環器科から了承が得られた患者さんの場合、ホルモン補充療法を開始してから半年から1年は厳密にフォローします。もし心臓などに問題が生じた場合は、すぐに補充療法を中止して循環器の主治医と相談をして対応します。主治医のいない患者さんには、受診ごとにしっかり問診などで確認をしていきます。ホルモン補充療法を開始して最低1年間は慎重に経過を見る必要があります。

◆「多血症」 酸素を運ぶ赤血球の数が非常に高くなる疾患です。それにより顔が赤くなったり、皮膚にかゆみがでたり、血圧が上がったりします。最も問題なのは血液がドロドロになることです。それにより、「心筋梗塞」「脳梗塞」リスクが出てきます。私は、定期的に血液検査で赤血球数を調べています。

◆「造精機能障害」 テストステロンを注射すると精子をつくる機能が障害され、精子数が減少します。これが造精機能障害です。テストステロン補充療法をやめると1、2年以内にほとんどの人が回復します。ただ、お子さんの誕生に関わるので、「お子さんが欲しい」患者さんには他の治療を提案します。補充療法の前に、子供のことはきちっと確認するのが基本です。

このほかの副作用として、「ニキビ」「女性化乳房」などもあげられます。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)