風邪をひくと痰(たん)が出ることがあるだろう。気道に侵入した異物を粘膜から分泌した粘液で包み、体の外に排出する自己防衛の証しともいえる。最初は透明だった痰は、症状が長引くに連れて淡い黄色や緑色に変わり、徐々に色が濃くなってゆく。

「痰の色や量は肺の健康状態を知るバロメーターです。白色だった痰が黄色や黄緑色に変わるのは、ウイルスや細菌に感染し、排除しようと働く好中球などの免疫細胞が増加した結果、痰の色が変わってくるのです」と、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸器センター治験管理室長、臨床医学研究科長の森本耕三医師は説明する。そして続ける。

「痰が増える呼吸器系の病気には、気管支に炎症が起こって内腔が広がる気管支拡張症や、喫煙が原因の慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、アレルギーの気管支ぜんそく、近年増加傾向の肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)などがあります」

無色の痰を異物と一緒に出すと感染予防につながるという。ところが、細菌などに感染してしまうと、粘り気が強くなって痰を排出しづらくなる。力強く口を開いて「カーッ」と声を出しながら痰を出そうとしても、痰が絡まってうまくいかないようなことも起こる。

「痰がたまると息苦しさや咳にも悩まされ、生活の質(QOL)の低下にも関わります。当院はリハビリテーション科で痰を出す方法を指導しています。痰の色が濃くなる、長引くようならば、早めに医療機関を受診するようにしましょう」と森本医師はアドバイスする。

痰に色と粘り気が出たら病気のサインと心得よう。