1度は心室性期外収縮と診断された農家の奥さん(42)が話してくれました。「農家に嫁いできて収穫は一大イベントなんです。家族総出で早朝から晩までやっても終わりません。人手が足りなくて。広い畑を全部刈り入れないとダメになります。玉ネギの収穫が近づいてくるともう苦しくて。今は終わってほっとしています。この時期は毎年調子が悪いんです」。
期外収縮の出現には、日内変動や24時間の生体リズムであるサーカディアンリズム、女性では月経が始まる前に動悸(どうき)がするなどに関係することもあります。
なぜ不整脈は変動するのか? これには、自律神経に影響を与える事情が大きく関わっています。この患者さんでいえば、年に1度起こる激しいストレスと過労です。刈り入れが近づいてきたら動悸が現れ、収穫作業の頃から症状は最大になることを毎年繰り返していることがわかりました。終わりとともに症状は落ち着くというので、この年は治療は延期しました。
果たして翌年、玉ネギが黄色から褐色になる時期にやはり症状が出現。収穫前に入院し、心室性期外収縮に対するカテーテルアブレーション治療となりました。心室性期外収縮の発生源を、右心室という心臓に戻って来た血液を肺に送り出す部屋の出口付近に見つけることできました。カテーテルアブレーションで心室性期外収縮は消失し、以後は不整脈がゼロとなりました。無事その年の収穫を終えた頃、その婦人は診察に訪れましたが、農家の嫁として使命を果たした晴れやかなお顔でした。
一方、心室性期外収縮がひどくなると時に心臓のポンプ失調を引き起こして心不全になる場合もあり、心臓が肥大したり、顔や足がむくんだり、息切れが起こることがあります。治療の時期や不整脈の陰に隠れている心臓病の見極めが必要なものもありますので要注意です。

