パルスフィールドアブレーションですが、高圧電流をかけるのは「波動砲」といわれた直流通電法の原理と同じです。相違点は、これまでの直流通電法では心筋に物理的な傷がついてしまうのに対して、パルスフィールドでは安全に高電圧をかけることができるのです。
高周波では熱による心筋のスポット熱傷をつくります。やけどでは患部周辺を含めて赤くはれて炎症が起こり、腫れが引くと壊死(えし)した痕が残ります。パルスフィールドでは炎症と壊死は起こりません。高電圧をかけた部分にのみ特殊なアポトーシスという現象が起こり、標的の心筋部分が死滅するだけです。非常に良いアブレーション方法です。
一方、弱点もあります。心臓の大事な司令塔である刺激伝導系の近くの治療ができません。治療する標的部位の近くに金属(ペースメーカの線や血栓治療のため金属の網など)がある場合も実施すべきではありません。また、心筋に栄養や酸素を供給する心臓の血管(冠動脈)の近くでパルスを当てると狭心症を起こすことがあり注意が必要です。これらの短所は、高周波アブレーションでは問題なく、むしろ得意とするところなのです。
最近では、いろんな病院のホームページで「パルスフィールドアブレーションを導入しました」などの文言が見られます。また、患者からも「パルスフィールドアブレーションで治療を受けられますか」という質問が来るようになりました。「あなたの不整脈に応じてパルスフィールドも高周波アブレーションでも、一番いい方法でします。場合によっては両方を適切に使って治療します」と答えるようにしています。
この春にはさらに新しいパルスフィールドが、さらにデュアルエナジー型(パルス/高周波)などの治療機器も導入される見通しです。アブレーション治療の近未来は明るいのです。

