仲間が集まっての食事会となると、必ず初めに出る言葉が「太ったねー」。実際、肥満を招いてしまっている人は多いのですが、「ちょっと仕事が忙しくて運動ができなかったからねー。すぐ元に戻るよ」と、気にしていない人も少なくありません。そこが問題です。肥満を軽く見ては“怖い明日”を体験することになりかねません。
実は、日本人の肥満者は決して少なくありません。厚労省の「国民健康・栄養調査」では、2024年の20歳以上の肥満者の割合は男性32・4%、女性19・3%です。男性は3人に1人、女性は5人に1人が肥満者で、“たかが肥満”と言っていられないのが現実です。
その肥満は「肥満」と「肥満症」に分かれています。肥満はBMI「体格指数=体重(キロ)÷身長(メートル)²」が25以上の人。肥満症はBMI25以上で、プラス健康障害が1つ以上あるか、内臓脂肪が過剰にたまっている人で、肥満症は病気です。
肥満症と診断される“プラス健康障害”は11疾患。<1>糖尿病、<2>高血圧、<3>脂質異常症、<4>高尿酸血症・痛風、<5>心筋梗塞・狭心症、<6>脳梗塞(こうそく)、<7>脂肪肝〔代謝機能障害関連脂肪肝炎=MASH(マッシュ)、※非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が24年8月から変わりました〕、<8>慢性腎臓病、<9>睡眠時無呼吸症候群、<10>運動器疾患(変形性関節症など)、<11>月経異常・不妊です。
たとえば、高血圧の治療をしている人がBMI25以上の場合、肥満症になります。医師の診断が必要なので、主治医の診察を受け、しっかり話し合って高血圧の治療だけではなく、体重を減らすことで高血圧も改善するので、きちっと治療に取り組みましょう。
これらの健康障害がなくても内臓脂肪の過剰蓄積があると肥満症で、その場合はおなか周りをきちっと測り、男性は85センチ以上、女性は90センチ以上あると内臓脂肪が過剰にたまっている可能性があるので、肥満症の診断を確定するために専門医を受診してください。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)
◆宮崎滋(みやざき・しげる)結核予防会総合健診推進センター所長、日本肥満症予防協会理事長。1971年(昭46)東京医科歯科大卒。東京逓信病院副院長、メタボリックシンドローム診断基準検討委員、肥満症診療ガイドライン作成委員長を歴任。肥満症の怖さ、予防の重要性を啓発。

