「肥満」の適切な治療・予防で、前回は「食事療法」を取りあげました。肥満によって心不全があるなど重篤な疾患があると通常は入院治療です。また、自宅でのダイエットが難しい人は、やはり入院しての食事療法が適切だということを紹介しました。

それが、BMI(体格指数)25~28くらいの人であれば、日常生活の中で食事の作り方をちょっと工夫するだけで、なだらかなダイエットができます。そんな患者さんのケースです。

Aさんは35歳のビジネスマンで、体重は82キロ、身長は170センチでBMI28の内臓脂肪型の肥満症でした。最近は在宅勤務の方が多くなり、Aさんも在宅勤務。在宅勤務中は周囲に食べ物をいっぱい置いていたため、ついつい食べ過ぎてしまう毎日でした。食事も宅配を頼めばわざわざ外出する必要もなく、家で椅子に座りっぱなしの毎日。それでBMI24が28に--。これはAさんに限らず、在宅勤務の人には多いのです。

そのAさんの在宅勤務は実家でもOKとなり、福島県の実家に戻ったのです。実家は田舎町でコンビニもスーパーも車でいかないといけないところなので、お母さんが故郷の食事を毎食作ってくれたのです。すると、3カ月後には体重77キロになり、8カ月後には73キロになり、BMIは25に。そして、1年後にはBMIが24になり、肥満を脱出できたのです。

Aさんの生活は何が良かったのか--。ポイントは同じ食材であっても作り方です。「焼く」「蒸す」「揚げる」「煮る」「ゆでる」「炒める」などいろいろありますが、油で炒める作り方では油でカロリーがアップします。それを、ゆでるだけにする、焼くだけにすると余分なカロリーを減らせます。

Aさんのお母さんの料理は、自然とそういう作り方だったのです。このように、食事の作り方が変わっただけで、食事でダイエットができ、治療になり、いろんな病気の予防になるのです。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)