300人リレーコラム

円谷幸吉が抜かれるシーンを生で見た/吉田勝己

<ノーザンファーム社長 吉田勝己(71)>

高校1年のときに64年東京オリンピック(五輪)がありました。馬術部の友人は何人か会場に見に行ったと聞きました。私はマラソンを国立競技場で見ました。2位で最後の周回トラックに戻ってきた円谷幸吉選手が英国のベイジル・ヒートリー選手にゴール寸前で抜かれるところを生で。「あー」って声が出たのはよく覚えています。

バトンを持つノーザンファームの吉田勝己氏
バトンを持つノーザンファームの吉田勝己氏

ちょうど前回の東京五輪の年に本格的に馬術を始めて、慶応高校、大学に在学した7年間は馬術に没頭しました。高校では授業が終わって15時くらいから20時ごろまで。大学では授業がない日も毎日学校に行って…。大学4年時には関東学生馬術選手権大会で優勝、全日本学生馬術選手権大会で2位に入りました。五輪なんて夢のまた夢でしたが、1日も休みませんでした。小学校に入る前から鞍もつけずに道産子に乗っていましたから、ずっと馬漬けの日々です。

我々、ノーザンファームの敷地内にはノーザンホースパークが併設されています。今では観光地として定着していますが、育成スタッフの技術向上が当初の開場理由でした。元競走馬以外にもさまざまな種類の馬を繋養(けいよう)しており、社員は馬上での技術を磨くことができます。馬主の大切な馬を預かる立場として、失礼があってはいけませんから。北海道内の馬術大会の会場にもなっていて、少し前までは私も選手として出場していました。

最近、71歳にしてまた馬術の練習を再開しました。今は空いている時間を見つけて週3回、毎回1時間ほど馬に乗っています。真冬の北海道でも汗をかきますよ。姿勢が矯正されるから腰痛が治ったり、体調もいいんです。法華津さん(寛=79、五輪出場3回)は今でも乗っていますし、私も80歳までは楽しもうかと思って(笑い)。私の娘は法華津さんに馬術を教わったこともあり、東京五輪選考会にも出ています。馬術競技の観戦チケットが手に入ったので、ぜひ頑張ってもらいたいです。

馬術はやっぱり欧州がすごい。馬が身近にいる環境があって、頭数、選手数、試合数といったピラミッドの大きさが違います。競馬と同じように、生産や売買が事業として成立しているのが大きいですよね。そこにプロが介在するから、全てのレベルが高い。時間はかかるけど、いつか日本もそうなってくればいいですね。今、ドイツなどで腕を磨いている人たちが日本に戻ってきたときに、ぜひ普及させてもらいたいです。(295人目)

選手、コーチ、関係者を含め、五輪好きの芸能人など、300人が20年東京五輪・パラリンピックに夢をつなぎます。

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