最後の切符はアベタクがゲット! G1初の決勝進出となった阿部拓真(35=宮城)が初優勝の快挙を達成。選考用賞金133位からの大逆転でKEIRINグランプリ2025(GP、12月30日・平塚)の出場権を獲得した。3連単はワーストの504番人気で、35万円オーバーの大波乱の結末となった。また、この結果を受けてGP出場の9選手が決定した。

優勝を誰よりも驚いたのは阿部自身だった。引き揚げてくると「マジ? これ」と何度も繰り返した。「夢みたい。何も考えられない」と放心状態。「まさか、まさかですよ。今期は失格しているし、和田圭さんと『S級1班の勝負だ』なんて話をしてた。誰しもがびっくりしてますよね」と目を丸くした。

レースは同期の吉田拓矢に前を任せる形。「選手紹介のタイミングで本当に雰囲気が楽しくて、タクヤと『楽しみましょう』とリラックスして臨めた。前日も、緊張感もなく爆睡でした」という強心臓ぶり。吉田のまくりは不発になるも、松本貴治マークから番手まくりを放つ荒井崇博に俊敏にスイッチ。内から上昇した山田英明のアタックをしのぐと、ゴール寸前で荒井を逆転した。「普段はガッツポーズとかしないのに、興奮して勝手に出てましたね。でも、1周回って(渡部幸訓が)落車していたのが見えて…。もしかしたら(審議対象が)自分じゃないかと思って後悔しかけました。優勝してから賞金が5090万円というのも知ったぐらい。9着賞金を見てましたもん。1月があっせんが止まるので、ダービーの賞金をちょっとでも稼ぎたいなと思ってましたよ」と本音を打ち明けて笑いを誘った。

さあ、年末には最高の舞台が待っている。「何月何日にグランプリがあるかも分かってない(苦笑)。S班の重圧もかかってくるだろうけど、自分らしく頑張りたい」。おっとりした愛されキャラが、競輪界の新たな歴史を刻んだ。【中嶋聡史】

◆阿部拓真(あべ・たくま)1990年(平2)11月3日、宮城県仙台市生まれ。競輪学校(現養成所)107期生として15年7月静岡でプロデビュー(3・7・1)。25年11月小倉競輪祭でG1初V。通算成績は829戦224勝。総獲得賞金は2億3848万9000円。173センチ、72キロ。血液型A。