平野歩夢の超大技に沸いた雲頂スキー公園に、中国国旗が揺れた。中国の今大会の「顔」でもある谷愛凌が、フリースタイルスキー女子ハーフパイプで圧勝。ビッグエアとの2冠を獲得したことで、中国の金メダル数は8個になった。
今大会、中国は大躍進を遂げている。夏はメダル大国だが、冬は初参加した1980年レークプラシッド大会から前回までで金は13個だけ。今大会目標の10個には届いていないが、過去11大会の合計に地元開催の1大会で迫る勢いだ。
判定問題やスタンドの大声援など問題視される部分もあるが、開催国が強化に力を入れてメダル数を伸ばすのは普通。昨夏の東京五輪でも、日本は金メダル27個で3位に躍進している。コロナ禍での特別な大会だけに、通常よりホームの利も大きいのだろう。
中国といえば、これまで10個の金メダルを稼ぐショートトラックの強さが際立っていた。ところが、今大会は谷の活躍でフリースタイルスキーで4個、スノーボード、スピードスケートでも金メダルを獲得した。谷ら中国にルーツを持つ選手に国籍を取得させ、多くの外国人指導者を招いた。なりふり構わぬ強化が、好成績につながっている。
「冬季スポーツ人口を3億人にする」が、北京開催を勝ち取った中国の公約だった。強化とともに施設を造り、国民に冬季競技を奨励した。すでに国家体育総局は「冬季スポーツ参加者が3億4600万人に達した」と発表。幅広い競技が残す好成績を、ウインタースポーツ全体の「する」人口増につなげている。
各国のメダルを見ると、その国のスポーツ事情がよく分かる。ノルウェーは15個の金メダルのうち13個が距離や複合などノルディック競技、ドイツは10個のうち7個がそり競技、オランダは7個すべてがショートトラックかスピードスケート、スイスは7個中5個がアルペン。競技の広い裾野が、頂点を高くしている。
日本はスノーボードからジャンプ、スピードスケートと幅広くメダルを獲得している。ただ、ウインタースポーツを「する」人は増えていない。スキーやスノーボードの愛好者人口も、最盛期だった1990年代の3分の1以下だという。多くの日本人にとって、冬季競技は「する」ものではなく「見る」もの。環境的に難しい部分もあるが、冬季競技の国内団体には強化とともに普及という大きな使命もある。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム 「OGGIのOh! Olympic」)



