新型コロナウイルス禍で、女子ツアーが開幕から4戦連続で中止された。それどころか米国のマスターズ、ANAインスピレーションという男女メジャー初戦まで延期になった。スポーツイベントの延期、中止の流れは今や、世界規模です。ワクチン開発がまだ。無症状のキャリアもいる。完全な予防は無理。自粛ムードは高まる一方…。しかしですな、どの競技も、いつかは1歩踏み出さなあかん。ならばそれはゴルフから、と思うんです。もちろん、無観客開催ですが。

まず「屋外競技」であること。出場選手数(春先は108人前後)とフィールドの広さを考えたら“人口密度”も低い。都会の街中の方が、危険やないか?

興行体質の問題もある。主催者が大会費用2~3億円を担い、選手の賞金も運営費もほぼそこからまかなわれる。つまりチケット収入に頼る比重がプロ野球、Jリーグなどより低い。

主催者がクライアントを招くプロアマ戦はある意味で競技と同じぐらい重要やけど、開幕戦ダイキン・オーキッドレディースは、当初「前夜祭」と「プロアマ戦」を中止しての無観客開催を打ち出した。第三者の勝手な言い草ですが、主催者が腹をくくりさえすれば無観客で…の部分はあるんやないでしょうか。

それでも、開催の決断は簡単やないでしょう。「選手だけじゃない。マスコミ、ボランティアから感染者が出るのも怖い」という声があります。

選手ロッカーのあるクラブハウスは通常、家族、マネジャー、コーチ、マスコミも出入りできて、時に“芋の子を洗う”密集度になる。ただ、利用者を選手とキャディーに限定すれば、空間に余裕はできるでしょう。むしろ不安要素は、ほかにあるとか。マスコミ数十人が作業するプレスルーム、100人前後のボランティアが使う待機場所、移動バス。確かにコースより、密閉性、密度の点で感染リスクは高そうです。

そりゃあ万が一を考えたら、腰は引けます。でも、まず無観客でも開催のステップを踏まんと、通常開催には進めません。大事を取って自粛する。自粛するから閉塞(へいそく)感が募る。打破するには、リスクを最大限考慮し「現状で万全」と思える体制を整えて、決断するしかないんやないでしょうか?

選手の思いはいろいろです。早くやりたい者も、感染を怖がっている者もいると聞きます。1番きついのはプロキャディーでしょう。大口のスポンサー契約など望むべくもない彼らは無収入が続けば、転職も考えんといけなくなるんやないかと、心配です。

勝手なことを書きました。大会に金も出さん立場からのたわ言です。しかし、そろそろ…もう少しで…と思わずにおれん今日この頃なんです。【ゴルフ担当 加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)