おはようございます。立冬(11月8日)も過ぎ、暦の上ではもう冬ですが、まだまだゴルフには気持ちのいい季節。そろそろ澄んできた空気を思い切り吸い込みながら楽しみましょう。今週のテーマは「アプローチ4~転がし~」です。

■見た目より実を取ろう

アプローチに「正解」はありません。自分のイメージが出るクラブでイメージ通りに寄せればいいのですが、その中で最もミスの確率が低いのが転がしです。まず、最初に転がすことができるかどうかを考えるのがスコアメークのコツです。

転がすことができない条件としては、ボールとカップとの間に障害物がある場合や、強い下りのラインの場合。この時は違うアプローチを考えましょう。逆に、下が砂地だったり、逆目の芝だったり、ボールを上げにくいライの場合には、転がしが有効です。

私の転がしはワンパターン。56度のウエッジを左足寄りに置いて、クラブを浮かせるようにして転がします。ひとつの打ち方を貫くことで、よりゴルフが易しくなるからです。

ただ、これは私の場合。一般的にはロフトが立った9IやPW、あるいはユーティリティーなどで転がすことが多いでしょうか。

転がすときには、ボールが上がりにくい構えと打ち方を意識します。通常よりボール1個分程度右足寄りにボールを置いて、左足体重で構えます。転がしですから、ランが多い(ほとんどランの場合もありますね)ので、落としどころは普段よりずっと手前になることを忘れずに。

ボールは1個分右足寄りに置いて、左足体重で構えます
ボールは1個分右足寄りに置いて、左足体重で構えます

大事なのは、徹底的に転がすことをイメージすること。目線も決して上げずに、下に落としてください。テークバックもフォローも低く。フォローは場合によっては出さないくらいでもいいでしょう。転がりながらカップインするわけですから、もちろん、ラインをきっちりとイメージして打ちます。

プロ、特に男子のトッププレーヤーがロブショットでピタリとカップに寄せる姿は確かにかっこいいものです。けれど、あれは徹底的な練習とヘッドスピードがあってのもの。その彼らでもライを選んで使う難しいショットです。マネしたい気持ちはわかりますが、むやみにマネしても成功する確率は低く、せっかくグリーン周りまでボールを運んだのに、スコアを落とすことになりかねません。

いぶし銀の技を持つシニアプレーヤーたちは、そんな確率の低いショットよりも転がしを多用しますよ。それだけ、転がしは効率がいいということです。ゴルフは確率のスポーツ。タップインの距離に寄せられるなら、見た目よりも実を取って転がしを使ってみてください。スコアが全然違ってきます。

◆青木瀬令奈(あおき・せれな)1993年(平5)2月8日生まれ、群馬県前橋市出身。実家は音楽教室で、瀬令奈は「セレナーデ(小夜曲)」から名付けられた。身長153センチ。ゴルフ好きの父について7歳でクラブを握る。小柄ながら小技が抜群で2006年日刊アマ全日本女子に史上最年少の13歳で優勝。数々の実績をアマチュア時代に残す。11年プロ転向。17年ヨネックスレディースで初優勝。18年賞金ランキング31位。三和シヤッター工業所属。

◆取材構成=遠藤淳子(清流舎)

◆撮影=浅見桂子

◆取材協力=白水ゴルフ倶楽部(群馬・渋川市)