今季限りで引退する宮里藍(31=サントリー)が大観衆の声援に応え、2アンダー70で発進した。引退表明後の初戦で、第1日の大会最多を更新する6735人のギャラリーの前で3バーディー、1ボギー。7年ぶりに同組となった上田桃子(30)とともに、首位と5打差22位につけた。感傷的に涙をこぼした上田と対照的に、感情を押し殺してプレーした。辻梨恵(23)が7アンダーで単独首位に立った。

 引退を決めた宮里の最終章は、霧雨の10番から始まった。インスタートから7ホールはノーバーディー、1ボギー。パー5の17番のティーグラウンドに立った時だった。同組の上田が耳元でささやいた。「そろそろですね。バーディーを取って、ガッツポーズしましょうよ!」。その声が、心を奮い立たせてくれた。6メートルのパットを沈め、最初のバーディーを奪った。

 「桃子とはお互いに『負けないぞ』と言っていました。我慢のゴルフだったので、同じタイミングでそろそろエンジンをかけようかという意見になった」

 大会後は米ツアーに専念するとみられ、国内での集大成になる。詰め掛けた観衆は6735人。ほとんどが宮里の組についた。最終ホール9番。まるで花道ができたような大観衆に包まれた。異様な雰囲気に苦楽をともにしてきた1つ年下の上田が、感極まった表情になった。対照的に宮里は感情を殺し、最後まで勝負師としての姿を貫いた。