「松山2世」が快挙-。金谷拓実(21=東北福祉大3年)が、11年松山英樹以来、史上4人目(73年のツアー施行後)となるアマチュアでのツアー優勝を果たした。首位から出て1イーグル、6バーディー、3ボギーの65で回り、通算13アンダーの267で、プロ相手に大学の先輩に続く歴史的快挙を達成。4月のマスターズに、アマ史上2人目の出場を果たした逸材が、ビッグなタイトルを手にスター街道をまい進する。

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劇的な幕切れだった。ノリスと通算11アンダーで並んで迎えた最終18番、残り220ヤードの第2打。金谷は5Iの低い弾道で池越えの2オンに成功した。グリーンをこぼしたノリスが、第3打をピン1メートルに寄せバーディーチャンスにつけ重圧をかけてきたが動じない。7メートル上りのスライスラインをきっちり読み切り、イーグルを奪うとド派手なガッツポーズを繰り出した。

アマでのツアー優勝は、大学の先輩でもある11年の松山以来で、倉本、石川を含めた過去3人。中学生当時に見た松山の優勝シーンは目に焼き付く。「プロのトーナメントを優勝したアマチュアはたくさん活躍されている。そこに名前が入ってうれしい」と充実感に浸った。

昨年、松山以来となるアジア・パシフィックアマチュア選手権を制し、4月のマスターズに出場。第2ラウンドの17番まで予選カットラインにいたものの、連続バーディーで予選を通過した。「最後まで諦めちゃいけないというのはマスターズ以降、考えている」。世界での経験は最終18番の土壇場でいきた。

身長172センチの平均的な体格だが、際立つのは勝負強さだ。今大会の平均飛距離は全体40位の約284ヤードもパーオン率は4位、平均パット数は3位。ピンに近づくほど力を発揮する。「松山と金谷は、ショートゲームに関してはずばぬけている」と東北福祉大の阿部監督。もちろん、飛距離アップも目指す。松山からその重要性を説かれると肉体改造に励み10キロ増。世界で戦うための準備に余念はない。

この勝利で日本ツアーの2年シードを獲得。「学生があと1年ある」と即転向には慎重も、プロへの青写真はある。今後は優勝者らが集まる12月のツアー最終戦には出ず、同週のオーストラリアオープンに出場。「松山選手は世界のトップ。早く同じ土俵で戦って世界一を目指したい」。21歳は世界の頂をみつめている。【松末守司】