今年も全英に“シンデレラ”が出現した。無名のソフィア・ポポフ(27=ドイツ)が今大会のベストスコアタイの67を出し、2位に3打差の首位に浮上した。4番パー5(522ヤード)では、第2打をドライバーによる“直ドラ”で、ピン前2・5メートルにつけるスーパーイーグルを奪取。主戦場が下部のシメトラツアーで、世界ランクは304位。プレーも肩書も規格外のポポフが、昨年大会の渋野に続く大ブレークを狙う。

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ポポフがキャディーバッグからドライバーを抜いた。

「3番ウッドではどうだろう、と。私はドライバーが好きだから」

4番パー5のフェアウエー。直ドラのショットは低弾道でアゲンストを突き抜け、グリーン前に落ち、ピン右前2・5メートルまで転がった。スーパーイーグルに「パーフェクトよ」とご機嫌だ。少しのミスでブッシュ、グリーン周りのポットバンカーに吸い込まれる。シンデレラは、そんなリスクを恐れない。

思いも寄らぬ出場だ。全英はアマチュアの11年に1度出て67位。プロ転向後の16年に全米オープン72位、18年に全米女子プロ57位とメジャーは3度経験したが、現在の世界ランク304位。2週前のマラソンクラシックで米ツアー初のトップ10となる9位に入り、全英切符を手にした。

華やかなキャリアは、ゼロに等しい。15、18年こそ米ツアーで戦ったが、シードを取れず、下部シメトラツアー暮らし。今年はコロナ自粛中に米国でローカル競技のミニツアー8試合に出て3勝。3週前の米ツアー再開初戦ドライブオン選手権では、親友の世界ランク86位アン・バンダム(オランダ)のキャディーを務めた。「彼女のスマートさが勉強になった」。絵に描いたような下積みだ。

今大会は、そんな日々を疑うパフォーマンスを見せる。この日はパーオン率100%という驚異的なデータを残し、今大会出場全選手のベストスコアタイ67をマークした。3打差リードで迎える最終日。「3日間と何も変えず、リラックスしていきたい」。渋野が昨年出場した時の世界ランクは44位。とんでもないシンデレラストーリーの序章が描かれた。

◆ソフィア・ポポフ 1992年10月2日、米国生まれ。幼少期にドイツ移住。南カリフォルニア大卒。ゴルフは5歳から。10年に欧州女子アマ選手権優勝。14年に欧州女子ツアーでプロ転向、16年から米下部のシメトラツアーに参戦し、2位が4度あるが、未勝利。昨季は獲得賞金約550万円、下部ツアーの賞金ランク25位。趣味はスキー、テニス、サッカー。170センチ。