高校総体2位の岐阜女が、3年ぶり2度目の優勝を飾った。決勝で初優勝を狙った大阪薫英女学院と対戦。伝統の堅守で相手の攻撃を食い止めると、PG池田沙紀主将(3年)を起点とした多彩な攻撃と決定力でリードを確実に広げ、92-74の快勝で王座に返り咲いた。

胸の内にため込んでいた思いが、大粒の涙となってあふれ出た。悔しさに耐え、歯を食いしばってコートを走り続けた月日が、次から次へと脳裏に浮かぶ。岐阜女の選手たちはメインコートで仲間の肩を抱き合いながら、優勝カップを手にした自分たちの物語のラストシーンをかみしめた。

池田主将は「昨年負けてから、このチームが始まった。必ずリベンジしようとみんなで話してきた。結果につながって本当にうれしい」と顔をほころばせた。高校総体と国体に続く「3冠」を狙った前回は、まさかの準々決勝敗退。その日のうちに都内から岐阜に戻り、午後9時から練習を行った。あれから1年。苦節を経て決戦の場に立った。

攻め込む相手に素早く詰め寄ってパスコースをふさぐ。ゴール下では常に複数の人数が体を寄せてシュートコースをふさぎ、24本のリバウンドを取った。伝統の堅守から速攻へ。池田がドライブでリングに持ち込めば188センチの長身センターのハディ・ダフェ(2年)のポストプレー、両サイドから精度の高いシュートを浴びせてリードを広げた。

先発5選手のうち4選手が2ケタ得点をマーク。前夜遅くまで相手の映像を分析したPG木下七美(3年)が9本のアシストを決めた。主力メンバーの故障や高校総体の連覇失敗、国体予選敗退など紆余(うよ)曲折を経て戻った冬の選手権。安江満夫コーチ(65)は「子供たちは悔しさから多くのことを学び、成長してくれた」と涙をこぼした。試合中はベンチに深く腰を下ろし、「選手はすべてを分かっていますから」と1度もタイムアウトを要求しなかった。

仲間と信頼を力に、試練を乗り越えて王座に返り咲いた女王は強さを増し、新たな歴史を刻んだ。