元日本代表セッターの竹下佳江監督(40)率いる「ヴィクトリーナ姫路」が、V2(Vリーグ2部)上位6チームで戦う「ファイナル6」で2連勝を飾った。

地元姫路での今季最終戦で3-0(25-23、26-24、25-13)とストレート勝ち。レギュラーラウンド首位通過で得た5点に加えて「3-0もしくは3-1での勝利(3点)」による2連勝で、勝ち点を11とした。

残り3戦でトップを守ればV1(1部)自動昇格決定。2位となればV1チームとの入れ替え戦に進む。

1、2セット目はミスで流れをつかめない展開が続いた姫路だが、要所で元ブラジル代表のスエレ・オリベイラ(31)、19年度の入団が内定する貞包(さだかね)里穂(22=東海大)の両アウトサイドヒッターらが躍動。竹下監督は「昨日(初戦)より硬さはとれた。1ポイントも無駄にできないというのは、うちのチームも分かっている」と表情を引き締めた。

悲願のV1昇格へ、また1歩前進だ。姫路は16年3月に日本初の女子プロバレーボールチームとして誕生。12年ロンドンオリンピック(五輪)で女子日本代表を28年ぶりの表彰台となる、銅メダルに導いた真鍋政義ゼネラルマネジャー(GM=55)が中心となり、08年北京五輪代表のセッター河合由貴主将(29)ら、プロ契約3選手からスタートした。

この日の試合後には河合が「3年前にはV2のレギュラーラウンドで首位など、考えられなかった」と本音を口にした。それでも地域でのバレーボール教室などで「たくさん応援してくれる」とバレー熱の高まりを実感する毎日といい「コンビニに行っても、声を掛けてくれるようになった」。ファイナル6を翌日に控えた今月1日にも、住民から「明日、頑張ってね」と声をかけられたといい「そういう方々のためにも結果を残したい」と明るい口調で意気込んだ。

竹下監督は18年2月1日に第2子を出産。かねて「女性のためのチーム」と口にしてきた真鍋GMらが産休を推進し、指揮官は同年1~8月まで現場を離れた。今も子育てと指導を両立する竹下監督が復帰後、初めてVリーグを戦ったチームは、レギュラーラウンド17勝1敗。当初見えた「相手に流れを渡したら、そのまま返ってこなかった」(竹下監督)という弱点も、専門家によるメンタル面の講義などを通して、劣勢時に前向きな言葉をかけ合うことで改善されてきた。

すでに主力として躍動する貞包は「『姫路から世界へ』という目標に向かって頑張っているのを、大学から見ていて(入団を)決めました。助けてもらっていることが多いけれど、その中で思いっきりプレーさせてもらっている」と充実感を口にする。

最年長35歳のミドルブロッカー高木理江から、内定選手までが一体となった現在のチーム。真価が問われる残り3戦へ、姫路がギアを上げていく。