体操個人総合で五輪2連覇、16年リオデジャネイロ五輪団体金メダルの内村航平(30=リンガーハット)が26日、都内で練習を公開した。

4月下旬の全日本選手権予選では両肩痛の影響で予選落ちし、世界選手権(10月、ドイツ)の代表からも落選していた。

この日は復帰戦となる8月の全日本シニア選手権(福井)に向けた調整で、鉄棒、平行棒などで技の確認に励んだ。両肩痛は「まだ痛い」が、この2カ月間の治療で快方に向かっているという。約1週間前には、肩の医療の名医を訪れた。「生理食塩水の注射ですね。硬くなった筋肉をほぐすというか、はがすというか」というハイドロリリースという治療法を受けた。その数は左肩だけで約15本。「『そんな打つ?』くらいだったんですけど、すごい良くなったんですよ」と効果を口にした。

全日本では予選落ち直後に、東京五輪について「夢物語」と表現した。この日あらためて問われると、落ち着いた口調でいまを語った。

「夢物語はちょっと、なんかこう、実現できない夢という感じがしますが、いまは夢です。かなえられる夢。かなえなければいけないという。だから自信もあるということなんですよね。ちゃんと練習も積めれば、ちゃんとした演技ができるという、ごくごくいままでやってきた当たり前のことができていなかったので、そこさえしっかりやれれば間違いなく、実現できるかな」。

肩の痛みが全治することはないと覚悟はしているが、改善はできる。その上で練習を積めれば…。明るい予感と確信を示した。

練習では鉄棒でI難度の「ミヤチ」に挑む場面もあった。1つ下の難度H難度「ブレットシュナイダー」も試合での成功はない中で、最高難度技に体を動かした。意図を聞かれると「好奇心ですね」とニヤリ。「可能性をひろげるためにやってみようと」と楽しそうに明かした。

全日本後も練習を積めていなかった状況を振り返り、肩の痛みが爆発したことも「当然だろ」と割り切った。落ち込む時間もなかった。順風満帆だった体操人生に訪れた初の挫折だと認めながら、「リセットして1から体操を楽しめている」と気持ちは前を向けていた。