20年東京オリンピック(五輪)の開幕までちょうど1年となった24日、東京国際フォーラム(千代田区)で1年前式典が開催され安倍晋三首相、国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長、大会組織委員会の森喜朗会長、東京都の小池百合子知事らが出席した。式典では入賞メダルのデザインを初披露。携帯電話や小型家電から採取した「都市鉱山」で製造したメダルは、夏季五輪の金、銀において史上最重量となった。

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開幕1年前を記念して発表した入賞メダルは、渦を巻くような曲線的なデザインで、光りを集めやすく輝き度合いが高いことなどが評価され、採用された。

組織委によると「光の輝き」「アスリートのエネルギー」「多様性と調和」という3テーマが込められている。デザイナーのSIGNSPLAN代表の川西純市さん(51)が提案し、「アスリートの努力と栄光、世界の平和を輝く光の輪で表現した」と話した。

金、銀メダルは夏季五輪史上最重量でそれぞれ約556グラム、約550グラムとなり、16年リオデジャネイロ五輪の500グラム、12年ロンドン五輪の400グラムを上回った。今大会の銅メダルは約450グラム。直径は85ミリで過去2大会と同じ大きさ。厚みは最大部分で12・1ミリで、リオの11ミリをしのぎ史上最大の厚さとなった。

登壇したリオ五輪カヌー男子スラローム銅メダルの羽根田卓也は「第一印象はピカピカ。やっぱり真ん中の(金)メダルが欲しい」と笑みを浮かべた。

素材は「都市鉱山」を再利用。携帯電話約621万台、全国1621の自治体から集まった小型家電約7万8985トンから取れた金属を精製し金約32キロ、銀約3500キロ、銅約2200キロを確保した。

メダル製造は18年12月から始め、五輪約2450個、パラ約2360個が全て完成するのは来年5月の予定。パラメダルは別のデザイナーが制作した。

リボンは東京大会を象徴する藍色と紅色で大会エンブレムの一部をあしらった。視覚障害者でもメダルの種類が分かるよう、金は1つ、銀は2つ、銅は3つ、リボンの内側にシリコン凸加工を施した。

メダルケースは円形で置物にもなる。国産タモ材を使用した藍色の木製。北海道にある山上木工と吉田真也さんがデザインした。【三須一紀】

◆五輪メダル 金、銀、銅メダルは1904年の第3回大会(セントルイス)から。1896年の第1回アテネ大会は金がなく、優勝は銀で2位は銅。オリーブ冠と月桂(げっけい)冠の「おまけ」だった。1900年の第2回パリ大会もメダルはなかった。夏季大会の表面デザインに「勝利の女神ニケ」が固定されたのは、1928年アムステルダム大会から。現在のIOCの規定では直径6センチ以上、厚さ3ミリ以上。金メダルは銀メダルに6グラム以上の金メッキ。64年東京大会は直径6センチ、厚さ7・5ミリで重量は62グラムだった。