2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は25日、パラリンピック入賞メダルのデザインを発表した。両面とも世界に新風を吹き込む意味を込めて「扇」をモチーフとした。大会独自の個性をより表現できる裏面には扇の中に、岩・花・木・葉・水を描き、日本の自然を表現した。

421人から選ばれたデザイナーは博報堂プロダクツに務める松本早紀子さん(30)。扇をデザインにした理由を「見た目で分かりやすく日本らしいものにした」と話し、花や木を彫り込んだ点には「手で触るだけで楽しめるものにしたかった」と思いを語った。

いわゆるサラリーマンの松本さんは、組織委から採用の電話が入った時は、オフィスで仕事をしていた。「頭が真っ白になった」という突然の採用連絡に「自分のことではないような感覚で『そうですか、すごいですね~』と受けていたように覚えています」と笑った。電話を切った後、しばらくぼうぜんとし、「1回忘れようと仕事に戻った」と振り返った。

松本さんは千葉県浦安市生まれで、14年に多摩美術大を卒業し、同社に入社。同社では飲食関連企業の子ども向け玩具・販促グッズデザインや、住宅メーカーの来場者向け販促グッズデザインを担当してきた。

昨年9月に採用が決定してからこの日まで、基本的には誰にも口外してはいけない取り決めだったが、そこは会社員、「会社に所属しているので今後、ご迷惑をお掛けするとのことで、ついこの間、社長にだけお知らせした」。

それ以外の社員には知らせず、この日のニュースで知った同僚から、驚きでお茶をこぼしたとのLINEが届いたという。記者から「何通ほど届いたか」と聞かれた松本さんだったが、「4件です」。発表直後の会見ということもあり意外に少なく、会場からは笑いが起きた。【三須一紀】