レスリング世界選手権女子76キロ級で銀メダルを獲得し、初のオリンピック(五輪)出場を決めた皆川博恵(32=クリナップ)が23日、成田空港に帰国し「今までで1番いい色のメダル。やってきたことが間違いではなかったし成長できた」と喜びを語った。

学生時代から有望視されながら五輪には縁がなかった。浜口京子に勝てず、12年ロンドン五輪には出場できなかった。その後も全日本選手権で勝ち続けたが、膝のケガで16年リオ五輪代表からも落選した。32歳にしてやっとの思いで勝ち取った五輪出場。「リオ五輪前は試合に出ることもできなかった。今となっては辛い思いをした分、強い気持ちで臨めたのがよかったと思う」と振り返った。

辛かった時期を、17年11月に結婚した元選手の卓也さんと一緒に乗り越えてきた。試合後にはスタンドで応援してくれた卓也さんの元に駆けつけアドバイスをもらい、力に変えた。五輪内定を決めた後は「よくやったねと褒めてもらいました」と照れながら話した。

2人で飼っている2匹の犬も銀メダルを「後押し」した。2人で家を購入後に飼い始めたという皆川は「疲れて帰ったときも喜んで迎えてくれるので癒やされる。8月は家にいなかったので早く帰ったので一緒に遊びたい」と笑顔を見せた。

東京五輪では銀メダリストとして終われる立場になる。皆川は「大会前は思ってもいなかった。世界との差は縮まっていると思う。プレッシャーはあるけど、覚悟を決めて練習して克服したい」と力強く語った。リオ五輪に出場できず、引退も頭によぎったが、思いとどまり、ようやくつかんだ五輪切符。最愛のパートナーとともに東京五輪で1番いい色のメダル獲得を目指す。【松熊洋介】