<東京五輪パラリンピック組織委員会 パラリンピック担当部長 中南久志(48)>

 多くの人に会場で競技を見てもらい、感動してほしい。5年後、それがパラリンピックの成功だと思います。東京は、変わっていきます。そのために今、プランを練っている段階です。

 まず、会場など施設。バリアフリーを進める上での基準整備ですね。パラリンピックの選手村には役員を含めて約7000人が入ります。車いす2000人、電動車いす500人。彼らが空港からスムーズに移動して快適に生活できるように、競技に集中して自己ベストが出せるように、環境を整える必要があります。

 例えば、施設の入り口。日本では800ミリが一般的ですが、体格のいい海外選手は通れない。トイレも問題です。駅などには障がい者用に多機能トイレがありますが、大きすぎて使いづらいという人もいる。選手の意見を聞いて、バリアフリー化の基準を設けることが必要だと思います。

 もう1つは心のバリアフリーをどう実現するか。招致の時も今も課題です。まだまだ人々の意識は高くない。商業施設の障がい者用の駐車場に一般の人が止めている。駅などで点字ブロックの上に荷物を置いている。それが悲しい現実です。学校教育から何とかしたい。プログラムに入れていただくよう東京都と話をしています。

 12年のロンドンパラリンピックは大盛況でしたが、5年前はそれほど盛り上がっていなかったそうです。メディアが競技を紹介し、選手を取り上げることで、関心が高まった。だからこそ、感動が生まれた。昨年から、日本でもパラ競技の国際大会が増えました。関心が高まりつつあることは間違いありません。

 64年大会に続いて、東京は世界で初めて2度目のパラリンピックを迎えます。64年は障がい者が社会に参画するきっかけになった。20年も何か将来に、広くアジア、世界に影響のある大会にしたい。健常者と障がい者が共生する環境ができれば、高齢化社会にも対応できるし、子育て支援にもつながる。そんなパラリンピックにしたいですね。(2015年01月28日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。