浦和競馬で調教師をやっています。以前乗馬をやっていて、その時身についた技術が肥やしになっています。競走馬は、体が大きくても人と同じように育てることが大切。毎日調教にも乗りますが、力で対抗するような乗り方はしません。駄目なことは叱り、いいことは褒める。声を掛けてあげる。競馬と乗馬は違いますが、馬に接する姿勢は一緒なんです。

私が入った高校には馬術部がありました。親が競走馬をやっていて、将来のために馬術をやりたいと思ったんですね。大学でも馬術部に入り、その4年間が終わってからは、競走馬と乗馬を並行しながらやりました。30歳ぐらいまでですね。結局は馬が好きだし、小さい頃から慣れ親しんでましたから。

五輪に出たいと思ったことは、1度はありました。ただ、周りに聞いたら、億単位のお金がかかると。海外で長期間、準備しなければいけないと。そう聞いたら、世界が違うわけですね。

大学の馬術部に、アルバイトに行く場所がありました。個人の乗馬をやっているところで、五輪に出るような馬がごろごろいたんですね。そこが2頭で1億7000万円の馬を買って、練習で乗せてもらっていたんです。体は馬車馬みたいなんだけど、ひょんひょんとゴムまりのように歩く。それで跳ぶんですね。ああ、馬ってこんなに違うものなんだと。そこでいい馬の動きも学べたから、自分の携わった新馬とか、何も知らない馬たちに教え込めるような、そういう技術を持たせてもらった。馬から教わることはすごく多かったですね。

東京五輪で期待するのは、日本らしいおもてなしです。外国から観戦に来る人で、困ってる人も出てくるでしょう。日本人は広く浅く、人と接することができますから。自然なおもてなしで、人付き合いの輪が広がればいいですね。

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