発表までは誰にも言えない決まりです。両親には(メダルを発表するパラ開幕1年前イベントを中継した)NHKの生放送に向け「オリパラ関係の仕事をしているから、もしかしたら映ってしまうかもよ」とだけ伝えました。放送を見た両親から「(自分の娘がメダルデザイナーとして出演し)何が起きているか分からなかった」と驚かれました。

発表翌日、会社のオフィスに入ってもシーン…。1人の先輩から「すごいじゃん」と声をかけられると他の社員から「松本何したの?」と、みんな知らない…。次の瞬間、みんなすごい勢いで検索してました(笑い)。知ってもらった後は、びっくりしていました。

デザインを考えたのは締め切り間際、4月の約10日間。金銀銅のメダルが合体する「合体型」や、パラエンブレムから着想した案も考えました。行きついたのは、将来、メダルを見たときに「あの時の日本のメダルだ」とパッと見て日本だと分かってもらえるものにしました。

パラメダルの「扇」と「岩・花・木・葉・水」のデザインは、一緒に応募した五輪メダルにも使用していました。五輪は自然5柄を幾何学的にし、原形があまり分からないようにした。一方パラは、5柄を写実的にし、視覚障害者の方も触るだけで分かるようなデザインにしました。

千葉県浦安市で育ちましたが、両親が旅行好きで毎年のように連れて行ってくれました。長野、山梨、新潟県の佐渡島など。夏出かけた日本の山、木々、木漏れ日、岩に付いたコケなど、旅行で見た日本の自然が、今回のデザインにも通じているのだと思います。

スポーツは苦手。中高時代の体育で、止まっているサッカーボールを空振りしたことがあります。それでも五輪イヤーはテレビをつけて観戦していました。

パラマラソンは本当にすごい。私だったら見えない状態で伴走者だけを信じて走れないと思います。パラチケットもたくさん応募しました。ボッチャ、マラソン、車いすテニス、卓球、トライアスロンなど。全部当たったら? 有休使います(笑い)。

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