【パリ=木下淳】性別を巡る騒動渦中にあるボクシング女子のイマネ・ヘリフ(アルジェリア)が、スワンナペン(タイ)に5-0で判定勝ちし、銀メダル以上を確定させた。
決勝に向けて「金メダルを目指したい。私はとても幸せです」と意気込み、あまりの強さには「決勝戦でも見事なパフォーマンスを見せたいと思っています。どう言えばいいのか分からないけれど、私の才能を披露したい。実際、私には才能があると思います」。世界各国から、ペンだけで150人前後の記者が殺到した取材エリアでコメントした。
「私も他のアスリートと同じように、目標を達成するためにここにいます。パリ五輪に参加できて幸運。フランスでは15日間の事前合宿を行い、アスリートとして夢をかなえるために、ここにいます」
試合は、相手を上回るリーチを生かして序盤からポイントを重ねる。1回、2回ともに5人の審判全員が10-9でヘリフを優勢とした。後がないスワンナーペンが猛攻を仕掛けた3回は激しい打ち合いとなったものの、ヘリフがスタンディングダウンを奪取。1人の審判が10-8をつける完勝劇を演じた。
テニス全仏オープンが行われるスタッド・ローランギャロスのメインコートにリングを設けた会場は、アルジェリア国旗を掲げた観客で満員。ヘリフの判定勝ちがアナウンスされると、大歓声に包まれた。応援もほぼヘリフに向けられたものだった。
3日の準々決勝もアンナルカ・ハモリ(ハンガリー)に5-0で判定勝ち。3位決定戦がないため、準決勝に勝ち上がった時点で銅メダル以上が決まっていたが、さらに輝く色にした。決勝は9日に行われ、中国のヤンと対戦する。
ヘリフは2023年に開かれた世界選手権で、主催する国際ボクシング協会(IBA)による詳細不明の性に関する検査で「失格」とされた。女子57キロ級の林郁■(リン・ユーティン=台湾)も同じ理由で失格となっていた。
今大会の2回戦では、相手のアンジェラ・カリニ(イタリア)が圧倒的な力の差を感じたのか、開始46秒で棄権。BBCスポーツによると「鼻に強い痛みを感じた。自分の命も守らなければならなかった」と世界的な総合スポーツの祭典で話したことで、大きな騒動に発展した。
この日の試合後、性別に関する指摘や批判、誹謗(ひぼう)中傷について問われると「気にしていない。私の功績を認めてくれたアルジェリアの大統領に、とても感謝しています。2020年に知り合えてから一番の支持者です」と答えた。
騒動に関しては「論争の中で何かを言われることを私は求めていません。重要なのは、私がその(強さの)レベルにいること。私はベストを尽くし、お客さんは楽しむ。それだけです。私たちは高いレベルで、相手と同じレベルで競技し、人間性を見せることを目指しています。相手も素晴らしいパフォーマンスを見せることを願っています」と語った。
この問題を巡っては、IBAのクレムレフ会長(ロシア)が前日5日にオンラインで会見し、ヘリフと林のテストステロン値が男性並みに高いとして「男性」と断言。昨年の世界選手権での性別適格検査で不合格とした理由を強調した。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「女性として生まれ育ち、パスポートも女性と記されている」と反論している。
※■は女ヘンに亭



