過去最多8個の金メダルを獲得したパリオリンピック(五輪)のレスリング日本代表。男子フリースタイル65キロ級で金メダルを獲得した清岡幸大郎(23=三恵海運)と同学年で元レスラー記者が、彼とのエピソードを明かした。
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22年の全日本選抜選手権、まだレスラーだった記者はフリースタイル74キロ級で3位に入賞。
同大会で65キロ級で3位に入賞した清岡とともに全日本合宿へ参加した。
合宿中は、社会人選手を相手にどうやったら勝てるかというレスリング談義に花を咲かせながら練習後にサウナへ行って、その後ご飯を食べて、コンビニへアイスを買いに行って…。
同学年と言うこともあり多くの時間を共に過ごし、プライベートでも関わる機会が増えた。
試合では強い彼だが、練習になると負けることも少なくない。
本番に強いタイプで片付く話なのだろうが、本人いわく「練習は失敗をしに行く場所。そこで課題を見つける」と明確な目的があった。
見つかった課題はコーチや先輩方へアドバイスを求めるなど、競技に対して貪欲な姿勢が印象的だった。
「絶対勝つから」。国内最終選考会の昨年末の天皇杯での試合前に記者へこう豪語していた。
組み合わせは東京五輪金の乙黒拓斗ら強豪ひしめくブロックであったが「勝ち進めばリズムに乗っていけると思う」と自信に満ちていた。
宣言通り優勝しその勢いのまま五輪の切符を獲得。強心臓の彼は「精神的に弱い人が行うだけじゃないという話を聞いて興味を持った」と今年からメンタルトレーニングも取り入れた。 「言語化できるようになって、どんな場面でも落ち着けるようになった」。さらにメンタルが強化されたトレーニングはまさしく鬼に金棒だった。
もっとレスリングを広めたい-。
その一心でこの五輪に臨んだ。
「攻めるレスリングは見ている人にわかりやすい」と求めたのは勝利に加え、競技を認知していない中、応援してくれる人の脳裏に刻む戦い方だった。
そして「子どもたちの手本になれるように」と6分間攻め続ける姿勢で五輪王者へ輝いた。
「みんなにはこの競技を取り組んでいる素晴らしさを理解してもらいたい」と今後は普及活動も視野に入れる。
記者としても、子供たちには、王者の攻め続けるスタイルを学び、攻撃力の重要性と技が決まった喜びや楽しさを吸収してもらいたいと願う。
そしていつの日か、彼を超えるレスラーが出てくるのを願うと同時に、清岡にはその壁であり続けてほしいとも思っている。
ただまずはゆっくりと休んでもらいたい。
彼の栄光をこのような形で記せたこと、本当に感謝している。【24年入社 深田雄智】




