下町の職人たちの夢は今回もかなわなかった。20日、平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)のボブスレー女子2人乗りが始まり、使用するそりを巡って騒動になったジャマイカ代表は、東京都大田区の町工場が中心となって開発した国産の「下町ボブスレー」ではなく、外国製のそりで出場した。

 当初は下町ボブスレーで五輪に参戦する契約だったが、大会前に覆された。現地で観戦したプロジェクト推進委員会の国広愛彦委員長は「一緒に頑張ってきた仲間なので、応援する気持ちもあった」と複雑な胸中を語った。

 下町ボブスレーの推進委は前回ソチ五輪と今大会で日本チームには採用されず、海外に希望を求めた。無償提供した最新機で選手の意見も反映させながら改良を重ねたが、昨年12月のワールドカップ(W杯)に輸送トラブルでマシンが到着せず、これをきっかけにジャマイカはラトビア製の使用を開始。今月5日、五輪でも下町ボブスレーではなくこのそりを使うと通達した。

 海外メディアによると、ラトビア製そりの所有者というジャマイカ代表のドイツ人コーチが最近辞任。推進委はそりと整備士を会場近くに待機させてジャマイカ側が支援を求めた場合に備えたが、同国代表の関係者はラトビア製そりの所有権は自分たちにあると主張していた。