10日の女子3000メートルに出場する高木美帆の滑りは、十分にメダルの可能性を感じるものだった。1月の国内でのタイムトライアル時から疲労が抜け、コンディションはぐっと上がっている。9日も600メートルから1000メートルのラップタイムが上がり、見た目で感じる以上のスピードが出ていた。着氷時に氷と刃の接する音が小さい、ロスの少ない高木ならではの滑りができていた。

 ただし、海外勢もしっかりと仕上げてきた。中でも14年ソチ五輪金メダルのブスト(オランダ)の動きが良かった。今季前半はけがの影響で不調だったが、ベテランらしく本番にしっかりと合わせてきている。10年バンクーバー五輪金のサブリコワ(チェコ)も今季の成績だけで判断できない怖さがある。45歳で7度目の五輪となるペヒシュタイン(ドイツ)も好調を維持し、不気味な存在だ。

 抜けた存在はおらず、5、6人が表彰台と、その位置を争うレースになる。氷の状態も良く、メダルには4分を切る記録が求められるだろう。高木には、今季のW杯で優勝した自信を持ちつつ、挑戦者として向かっていってもらいたい。(88年カルガリー、92年アルベールビル、94年リレハンメル、98年長野五輪代表。日体大監督)