オーストリアのジャンプが好調で、前半でトップに立ったことが想定外だった。ドイツ、ノルウェーの2強は力が抜けているが、日本がオーストリアにジャンプで20秒差をつけられれば銅メダルは間違いないと思っていた。それができていれば、走力のある渡部善ではなく山元をスターターに起用するなど、距離のオーダーも無理をせずに済んだはずだ。

 日本の選手はジャンプ、距離ともに世界トップレベルの力を備えている。課題を挙げるとすれば距離のラストのスプリント。個人ノーマルヒルで渡部暁がフレンツェル(ドイツ)に残り1キロの上り坂で振り切られたように、勝負どころで粘れる力を身につけることだ。ほぼ無酸素の苦しい状態で、欧州の強豪を逆に突き放せる走力を集中的に養っていけば、強い日本の複合が復活する日も近いと思う。(94年リレハンメル五輪団体金メダリスト)