歯磨き粉から「オリンピック(五輪)」を感じた。同僚の先輩、後輩との男臭い3人での共同生活も2週間がたった。2日遅れで現地入りし、他の2人が暮らす部屋に着いた時、共用の洗面台には歯磨き粉が2個置かれていた。1つは新品で、もう1つは白いテープが2カ所、ずれた状態で貼られたもの。きちょうめんな先輩が「新品」、腹が出た体育会系の後輩が「白テープ」だと勝手に思いこんでいた。だが、4日目に後輩が「新品」を使っているのを目撃。「白テープ」について聞くと、先輩のものではないかと言う。続けて先輩に聞き、ようやく部屋に置かれていた備品だと判明した。

 「白テープ」の正体は、スポンサーへの配慮で、メーカー名を伏せるためのもの。報道陣が宿泊する建物は24階建てで、それが何棟もある。これを1枚ずつ手作業で貼っていたのかと思うと、少し考えさせられた。日本でも「壮行会の禁止」などが話題になったが、それもこれも「五輪」なのだろう。もやもやとした気持ちを込め、多めにつけて磨いてみたが、使用感は悪くなかった。【奥山将志】