大歓声に包まれながら、白地に青で朝鮮半島を描いた「統一旗」が揺れた。韓国が3回目の挑戦で招致に成功した、念願の平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)。開会式で南北の選手らは合同で入場行進、はじけるような笑みで共に歩みを進めた。会場には朝鮮半島の民謡「アリラン」が流れ、北朝鮮の女性応援団らが大合唱した。

 赤いジャージー姿の北朝鮮の応援団は会場のスタジアムの一角に陣取った。開会式が始まる前から「われわれは一つだ」と連呼。南北の選手団が姿を現すと、統一旗を手に立ち上がり「祖国統一」と声をからした。五輪は幕開けから南北融和をアピールする色彩が濃くなった。

 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏らも立ち上がって手を振り、満面の笑みを見せた。

 スタジアム付近の橋には統一旗が結び付けられた。周辺では日中から、北朝鮮を歓迎する学生らが北朝鮮の歌謡曲「パンガプスムニダ(うれしいです)」に合わせて踊った。南部釜山から来た女子大生、李睿珍さん(26)は「せっかくできた南北対話の機会を大事にし、戦争のない世界につなげたい」と語った。

 一方、保守層などは開会式で韓国選手団が国旗を掲げないことに不満を募らせ「平壌五輪」に成り下がったと文在寅政権批判を展開。スタジアム周辺でも抗議集会が開かれ、韓国当局は厳重な警備態勢を敷いた。

 金正恩氏が今年1月、代表団派遣に前向きな姿勢を表明し、北朝鮮の五輪参加が急展開で決定した。