北朝鮮の三池淵(サムジヨン)管弦楽団が12日午前、韓国を出発し、北朝鮮に帰国した。同日、韓国の聯合通信などが報じた。

 三池淵管弦楽団は、ソウル市内のウォーカーヒルホテルに宿泊し、午前9時12分に「牡丹峰楽団」の団長として知られるヒョン・ソンウォル氏らがホテルを出て、バス5台に乗り、韓国と北朝鮮の非武装地帯(DMZ)にあり、北朝鮮に近い京義線・都羅山(トラサン)駅まで移動し、同駅にある「南北出入国事務所」(CIQ)を通って陸路で帰国したという。

 都羅山駅の先には北朝鮮の開城(ケソン)工業団地があり、最寄りの開城駅と都羅山駅は2000年に韓国側が12キロ、北朝鮮側が15・3キロ、それぞれ線路を延伸する連結工事が行われた。07年5月には試験運行が行われており、三池淵管弦楽団が今回の陸路での帰国に列車を使った可能性がある。

 都羅山駅は、毎週月曜と祝祭日以外は、2つ隣の文山(ムンサン)駅からは列車、1つ隣の臨津閣(インジンガク)駅の先にある臨津閣公園からはシャトルバスで行くことが出来る。ただ、この日は月曜で都羅山駅に一般の人が立ち入ることは出来なかった。そういう日に合わせて帰国日程を組んだ可能性はある。臨津閣駅には、北朝鮮をこの目で見ようと集まった、中国人の団体観光客の姿があった一方で、都羅山駅の隣と近いことから、韓国警察のバス3台、韓国軍の車も立ち入り、チェックする警戒ぶりだった。

 また、11日のソウル公演から一夜明けた韓国メディアは、少女時代のソヒョン(26)がステージに立ち、楽団のメンバーと「また会いましょう」、「我らの願い」の2曲を歌い、メンバーと抱き合ったことも報じた。【村上幸将】