高梨沙羅(21=クラレ)の父寛也さん(50)が、手記を寄せた。幼少期から二人三脚でジャンプを極めてきた。父であり、コーチでもある立場からメダルという夢を実現させた娘沙羅へ、愛情たっぷりの言葉を送った。

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 銅メダル、おめでとう。その言葉しかない。よく頑張ったね。ソチからの4年間があるわけだから。ジャンプを始めた時は、すごいセンスがあるぞとは思わなかった。少年団の中でもとびっきり小さかったし、特に飛べたわけではなかったから。自分のやっていた競技だから本音を言えばやってほしくなかった。良いことも悪いこともあるけど、わざわざ苦労させたくなかったからね。

 小さい時からバレエをやったりいろんな習い事をしたけど、始める時にやるなら最後まできちんとやりなさいよと言ってきたよね。ピアノはつらそうだったけど、自分のけじめの年まで頑張った。学歴もジャンプやっているからっていいわけではない。でも、そこに対しては頑張っているなと思っていた。ジャンプをやめてからの人生の方が長いわけだし、何もないではなくて、きちっとした人間性を指導してきたつもり。そこを理解してついてきてくれたことはほめてあげたい。

 感心していたことは、トレーニングに対して決して手を抜かないこと。普通だったら休んだりするけど、そこがないのが一番すごい。去年くらいから自分のジャンプを分析できるようになったことも驚きだった。

 すごいストイックにやってきたね。それをやらせたのも親かもしれないけど、その練習が必要だと本人が一番分かっていた。自分でやると言った以上、それを決めてやっていることもすごいことだったと思う。

 最近は私を超えてしまったなぁと思う。子どものころはまだまだ負けないよと言っていたが、今はもう超えられたかな。