東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の新会長に選ばれた橋本聖子氏(56)が18日、就任会見を行った。冒頭では「国民の皆様」「アスリートの皆さん」「ボランティア、聖火ランナーの皆様」「パートナーの皆様」と項目を分けて、あいさつした。

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東京2020組織委員会の新会長に就任をいたしました橋本聖子でございます。先ほど理事会の中で、コロナ対策について、ジェンダーについて、そして延期に伴い、初めての経験になる東京大会の抱負等のお話をさせていただきましたが、改めて1つ1つについて、ごあいさつをさせて、いただきたいと思います。

まずは都民の皆様、そして国民の皆様へ、ごあいさつをさせていただきます。オリンピック・パラリンピックも社会の一部であり、私は何よりも、コロナで厳しい状況にある社会の1日も早い回復を願っているところであります。政府、東京都、そして関係自治体による、一連の対応で、状況が改善することを期待しながら、オリンピック・パラリンピックの在り方をしっかりと進めて参りたいという風に思っております。ちょうど、昨日から国内でもワクチンの接種が開始されたところでございます。報道では、医療の現場の方から、「感染を防御して、安心して医療が提供できるのではないか」というコメントもご紹介されておりまして、これは希望の1歩になるという風に実感をしております。最前線でご尽力されている医療従事者の皆様方にに心より敬意を表し、改めて感謝を申し上げたいと思います。

コロナの状況によりまして、大会開催を不安に思う方も増えているのではないかと思います。加えて今回、新会長を選ばなくいかなくなった一連の経緯は、さらに国民の皆さん、都民の皆様の気持ちを困惑させるものだったのではないかという風に思います。コロナを取り巻く環境は、まだ厳しいわけですが、これまでもオリンピック・パラリンピックの担当大臣として、政府の立場からコロナ対策に全力で取り組んでまいりました。今後は組織委員会の会長の立場で引き続き、万全の体制をしき、安全な大会であるということを、しっかりと関係者だけでなく、いろいろな受け入れをしていただく、国民の皆様、都民の皆様にも、丁寧な説明を心掛けていきたいという風に思っております。

また今回の出来事で、多くの方は組織委員会が、大会を契機としたジェンダー平等の推進に、いかに取り組もうとしているか、大会を注目されていると思います。その事に関してましては、スピード感をもって進めて、組織委員会に対する、皆様の信頼回復に努めたいと思っております。

またアスリートの皆さんにも、ごあいさつをさせていただきます。コロナ禍の苦境にあって、さらに今日の世論の中で、オリンピック、パラリンピックという舞台を目指すことすら、果たしてよいことものかと、自問自答をする日々は本当に苦しい毎日ではあろうと、想像をしております。私自身もアスリート出身の立場から、私のミッションは参加者にとっても、国民の皆様にとっても、安全最優先の大会を実現して、アスリートの皆さんが迷うことなく、夢の舞台に立てるように、今の社会の空気を変えていくことだと思っています。アスリートファーストの視点をしっかり見据えながら、ミッションを果たしていきます。これまでJOC強化本部長の当時から「人間力なくして競技力の向上なし」という言葉を、アスリートの皆さんに伝え続けてきました。このコロナだからこそ、今の社会にスポーツで何ができるのか、自らに尊い役割を探求して、社会に貢献するスポーツの価値を示していっていただきたいと思います。自信と誇りにあふれる東京大会にするべく、アスリートファーストの視点を忘れることなく、アスリート出身の私として全力を尽くして、参りたいと思っております。

またボランティアと聖火ランナーの皆様にもお話をさせていただきたいと思います。皆様の中には、今までのいろんな経過の中で辞退をされた方がいらっしゃると、うかがっております。大会を誰より楽しみにしていただいていた皆さんにも、もう1度、東京2020大会の一役を担っていただける、ということでありましたら、ぜひ、またボランティアとして、参加していただけるように、その準備も、しっかり整えて、いきたいと思っております。

パートナーの皆様方も、お話をさせていただきます。これまでも物心両面の大変なご支援をいただいてきました。パートナーの皆様の力が結集した、このエネルギーは何にも替えがたい機運情勢のパワーとなっております。夏に向けてのラストスパートでありますので、ぜひ、皆様方のお力をお貸しいただきたいと思っております。

結びになりますが、あと5カ月あまりとなった大会の開催。来月には聖火リレーがスタートするという大変重要な局面を迎えております。会長として、自らの職務に献身するとともに、あらためて政府、東京都、関係自治体、パートナー、スポーツ界など、すべての関係団体の皆様と緊密に連携しながら、大会の開催に尽力してまいります。

史上初の延期となった大会であります。この長いオリンピックとパラリンピックの歴史の中、延期という経験は、この東京が初めてであります。初めての経験をする東京大会の組織委員会だからこそ、持続可能なオリンピック・パラリンピックを開催するために、東京モデルとしての、この組織委員会のレガシー作りというものを、新たなオリンピック、パラリンピックの力になるように、しっかりと提言をさせていただきたいと思っております。必ず東京モデルは、IOC、IPCの将来の開催指針となって、末永く、レガシーとなることと確信をおります。しっかりと新たな目標というものを打ち出しながら、国民の皆様に歓迎される東京大会の開催に向けて、全力で準備に取り組んでいきたいという風に思いますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。