パーク女子で、中学1年の開心那(ひらき・ここな、12=hot bowl skate park)が、五輪切符を確実にした。五輪予選最終戦で47・70点をマークして5位。世界ランキングで、今大会で優勝した四十住さくら(19)、3位岡本碧優(14)に続く五輪代表圏内の日本勢3番手に浮上した。開幕時12歳10カ月で挑む夏季五輪に出場すれば、日本人最年少となる。ストリート男子は、堀米雄斗(22=XFLAG)が2位に入った。

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大会前の世界ランキングは日本勢4番手。五輪出場には3番手・中村貴咲(21)を上回る成績が必要だった。大一番にも開は「普通に楽しんでやっていた。いつもより緊張しなかった」。4度の試技は、すべて40点超えの安定感を発揮した。最後の滑走で最高の47・70点。スピード感のあるライディングとコースの縁を使った回転技を披露し、勝負強さで五輪切符をたぐり寄せた。

決勝進出者8人の平均年齢は16歳。その中でも、同じ12歳のスカイ・ブラウン(英国)とともに最年少だった。東京五輪が延期されなければ、夏冬の両大会を通じて日本人最年少出場になっていた。開は「別に年齢とかは考えていない」とさらり。デッキに乗ると、大人顔負けの難技で会場を沸かせた。

スケートボードが好きな母が「家族で一緒にできるスポーツをさせたかった」と、幼稚園児だった5歳で競技に出会った。地元の北海道・苫小牧市に練習場ができると通い始め、「新しい技ができるようになったとき、誰かと一緒に滑ると楽しい」と魅力に引き込まれた。放課後に先輩ボーダーたちから教わりながら技を磨いてきた。

四十住、岡本とともに10代の日本女子スケーターたちがメダル独占の可能性も出てきた。開もその思いは強い。「誰もやっていない技を自分で先にやって、表彰台に上がりたい」。中学1年生は既に夏に向けて照準を合わせている。【平山連】

○…開が東京五輪出場確実の吉報に、北海道アクションスポーツ協会の和田直也理事長(43)は「練習施設の少ない地から大変誇らしい。五輪での活躍は人気への後押しとなる」と喜んでいた。開を競技開始時から知る赤前吉明理事(39)は「彼女の得意なトリックを確実に決めれば入賞は間違いない。確実にやってもらいたい」と、早くも本番での活躍を期待していた。

◆開心那(ひらき・ここな)2008年(平20)8月26日、苫小牧市生まれ。5歳で競技を始めた。日本選手権は18年4位、19年優勝。趣味は絵を描くこと。得意科目は図工で上海の大会に出場した経験から、授業では針金で上海タワーを作った。好物はカレーうどんとカレーラーメン。名前の由来は南国好きの母が「ココナツ」から付けた。146センチ、34キロ。家族は両親と弟。血液型はO。

◆最年少記録 日本オリンピック委員会(JOC)は「戦前の大会等において生年月日が不明な選手が多く、明確な記録はありません」としているが、記録が残る範囲では、夏季五輪の女子最年少出場者は68年メキシコシティー大会競泳の竹本ゆかり(13歳5カ月)。男子は32年ロサンゼルス大会競泳の北村久寿雄(14歳9カ月)。日本がボイコットした80年モスクワ大会競泳の長崎宏子(11歳11カ月)は、大会には出場できなかったが、JOCから五輪代表に認定されている。一方、冬季では36年ガルミッシュパルテンキルヘンのフィギュアスケート女子シングルの稲田悦子(11歳11カ月)。年齢は開幕時。