7世紀に「0」の概念を生み出したインドは、今も国際IT企業に数多くの人材を輩出している。今作の実在モデルとなった数学者アーナンド・クマール氏は、最難関インド工科大学(IIT)に、その私塾から多数の生徒を合格させた「理数系大国」の原動力だ。

突出した才能で英ケンブリッジ大の入学許可証を得ながら、貧しさゆえに進学を断念。曲折の末に貧民層の優秀な子弟を集めたSUPER30の開塾に至る。演じるインドの二枚目リティク・ローシャンの目は気持ちいいほど澄んでいる。

「日常のすべてに疑問を持て」「金がないなら工夫しろ」-逆境をバネにした彼の言動は、生徒たちを貧民コンプレックスから解放する。自信を持った生徒たちは、開塾後も続く既得権益層からの暴力的な妨害工作を、知恵と勇気で乗り越えていく。1万5000人のオーディションから選ばれた30人の生徒の個性がそのまま配役に生かされ、笑顔と白い歯が心に残る。

胸のすくような逆転劇の一方で、インドの「親ガチャ」高低差のなんと大きなことか。IT大国のバイタリティーと併せ、その格差社会の根深さも改めて印象づける作品だ。【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)