【オリックス・石岡諒太】「楽しそうに野球をやって」/さよならプロ野球〈23〉

引退―。プロ野球選手にとって不可避の岐路は、新たな人生への「入団」でもあります。オフ恒例の大河企画「さよならプロ野球」で、青年たちの希望の光を追います。2023年の第11弾は、オリックス石岡諒太内野手(31)。

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◆石岡諒太(いしおか・りょうた)1992年(平4)5月25日生まれ、兵庫・神戸市出身。神戸国際大付、JR東日本を経て、15年ドラフト6位で中日へ。22年7月に後藤駿太との交換トレードでオリックス移籍。通算36試合に出場し73打数15安打、打率2割5厘。188センチ、93キロ、左投げ左打ち。

「はじめまして。ニックネームはエヴァです」

8年間のプロ野球人生で1度だけ。今も忘れられない時間だった。「はじめまして。ニックネームはエヴァです」。

22年7月10日、ほっともっと神戸でのロッテ戦。今季限りで現役引退を決めた石岡は、初めてのお立ち台で大歓声を浴びていた。

つい2日前に中日からのトレード移籍が発表され、新天地で迎えた2試合目で初スタメン。ユニホームも間に合わず、清田打撃投手の「112」を背に、マルチ安打と好守で躍動した。

「地元ですし、移籍してすぐで、ファンの方が温かく受け入れてくれた。すごくうれしかったです」

地元兵庫でファンがくれた声援は、心に残り続ける思い出だ。

15年ドラフト6位で中日に入団。しかし、春季キャンプ直前に腰を痛めて、椎間板ヘルニアの手術を受けた。19年にも同じ手術を受け、翌年は育成契約。「ケガもしていたので、苦しい思い出のほうが多いですかね…」。そんなプロ野球生活の中でかけがえのない出会いもあった。

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磯綾乃Ayano Iso

Saitama

1991年(平3)埼玉県春日部市生まれ。早大から14年入社。
整理部を経てアマチュア野球担当、阪神担当からサッカー担当に。
大学時代はインドの国民的スポーツ「カバディ」に夢中になり、全日本カバディ選手権で4強入り(出場6チーム)。