香川真司と清武弘嗣は並び立つか C大阪小菊監督の「ぶれない」マネジメント/連載5

セレッソ大阪を指揮する監督の小菊昭雄(48)は、8月末でクラブ史上、日本人最長政権となる就任丸2年を迎える。今季前半戦はMF香川真司(34)が完全復調し、7月には大けがで長期離脱していた主将のMF清武弘嗣(33)も復帰した。13年ぶりのレジェンド2人による再共演が期待される中、改めて小菊のマネジメント力に迫った。(敬称略)

サッカー

〈プロ選手経験のないJ1指揮官の挑戦〉

7月5日の公開練習で汗を流す香川(右)と清武

7月5日の公開練習で汗を流す香川(右)と清武

競争主義 開幕から先発メンバー大幅入れ換え

7月7日、48歳の誕生日を迎えた小菊は、報道陣の取材に対応していた。七夕にちなみ、今後の願い事を尋ねられた。

「(コーチとして、17年度にルヴァン杯と天皇杯の)2冠を取った景色は、鮮明に覚えている。全員でもう1度、あの景色を見たい。まだリーグ戦、天皇杯とチャンスがある。全力で頑張っていきたい」

2年連続準優勝だったルヴァン杯こそ、今季は1次リーグで敗退したが、リーグ戦は開幕直後の停滞から抜けだし、第21節を終えた7月16日時点で首位と勝ち点8差の5位。4回戦に進んだ天皇杯を含め、まだ2つのタイトル獲得の可能性がある。

Jリーグが公表する22年度のトップチームの人件費において、C大阪は全体の11位にあたる約20億円。約48億円の神戸が1位で、約28億円のG大阪は6位。典型的な中規模クラブのC大阪にとり、現状の成績は投資を上回っている。

それでも小菊は、可能性がある限り、優勝という言葉を使い続ける。

「選手が本気で優勝を目指しているのに、私が目指さないと当然、かなうものではない。私、選手、クラブ、サポーターが目指してやるからこそ、いろんな困難にも立ち向かい、乗り越えていける」

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スポーツ

横田和幸Kazuyuki Yokota

Osaka

大阪府池田市生まれ。1991年入社。
93年Jリーグ発足時からサッカー担当で、当時担当していた出世頭は日本代表監督になった広島MF森保一。アジアの大砲こと広島FW高木琢也の当時生まれた長男(利弥)を記者は抱っこしたが、その赤ちゃんがJ3愛媛のDFで今秋30歳に。
96年アトランタ五輪、98年W杯フランス大会などの取材を経て約13年のデスクワークに。19年から再びサッカーの現場へ。