9月29日、村上義弘さん電撃引退という衝撃のニュースが駆け巡った。
翌日の30日、G3開催の久留米競輪場に弟・村上博幸(43=京都)の姿があった。検車場に到着するなり、普段の前検の緊張感とは異質の雰囲気に包まれていた。この開催で博幸は、SS班の郡司浩平や松浦悠士とも互角に渡り合い、準優勝と結果を残した。
帰りの新幹線ホームの待合室で、博幸と話す時間があった。決勝のレース回顧をしながら、自然と話題は兄の話に変わる。10年松戸ダービーのG1兄弟ワンツーなど思い出の場面を振り返りながら「まだ信じられへん」と、上の空だった。
すると、ふいに「ここ、触ってみて」と、左の肩のあたりを指さす。おっかなびっくり手を伸ばすと、軟骨のような柔らかな感触が伝わってきた。慌てて手を引っ込め、自分の体の同じ部分を触ってみると、しっかりと鎖骨の硬さがある…。1月の大宮G3の落車で、幾度も骨折した鎖骨は悲鳴をあげ、いまだに完治はしていなかったのだ。
7月に戦列復帰後も、満身創痍(そうい)の状態で走り続け「半年の集大成」と位置づけたシリーズで、完全復活を印象づけられたのは、兄と同じ“魂のDNA”が刻み込まれた、不屈の闘志のなせる業だ。
順調に出走回数をクリアすれば、来年2月の全日本選抜からG1戦線に復帰できる見込み。これからは、師匠から家族に戻った“お兄ちゃん”の応援を受けながら、村上家に再び栄光をもたらす。
























