ワッキー、G1連続Vだ。脇本雄太(29=福井)が最終バック3番手から鮮やかにまくり、8月いわき平オールスターに続く2冠を達成した。今後は再びナショナルチームでワールドカップ(W杯)を転戦した後、11月の小倉競輪祭を経て、暮れの静岡KEIRINグランプリ(GP)初制覇を目指す。2着には三谷竜生、3着は平原康多が入った。

脇本の、脇本による、脇本のための大会だった。青板バックで渡辺一成を突っ張ったところで勝負あった。打鐘先行した清水裕友の3番手を確保し、最終バックで「自信を持った」と勝利を確信。ラスト半周をこの日最速となる9秒1で駆け抜け「2つ取って本物」と言われる2冠目をあっさり手にした。

ゴール直後も派手なアクションはない。軽く右手を上げてファンの声援に応えただけ。引き揚げてきた際も、ほとんど呼吸は乱れていない。準決勝では上がり8秒8のバンクタイもマークしており、勝って当然。涙もない。「うれしいのひと言。緊張したけど、人気に応えられて良かった」と話した後、ようやく安堵(あんど)の笑顔を見せた。

それでも今回は、自転車と体が完全にはマッチしていたわけではなかった。ナショナルチームの自転車メーカーが替わった影響で乗り方が変わり、それが競輪にも波及。準決後は「この自転車は(次開催からは)使えない」と話していた。この日「まだまだ強くなる要素がある」と口にしたように、競輪祭(11月20日~、小倉)では新しい体、乗り方に合った新フレームが出来上がる予定だ。

今後はW杯第1戦(19日~、フランス)、第2戦(26日~、カナダ)に参戦。その後、競輪祭を経て、暮れのGPに向かう予定だ。「GPを取るつもりでやっていく。そして、その先の夢、2020年につなげたい」。この日の勝利は確かにうれしい。だが、脇本にとっては、輝ける未来への1つの通過点に過ぎない。【栗田文人】

◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ、福井市出身。科学技術高卒。競輪学校94期生として08年7月12日に福井でデビュー(1<1>(2))。自転車トラック(ケイリン)日本代表として16年リオデジャネイロ五輪出場。昨年のW杯第4戦(チリ)ケイリンで金メダル獲得。G1は今年8月のオールスターに続き2冠目。通算717戦253勝、通算獲得賞金は4億3632万3600円(8日現在)。180センチ、82キロ。血液型A。