大きな壁があったね。細谷の1ミリで悔しいと思うなら、その考えは根本的に間違っている。スペインとは1メートル以上の実力差があった。ボールを回され、後半にボディーブローのように効いてきた。日本はボールを追っかけることすらまともにできなくなった。悔しいけれど、完敗だ。
五輪代表にはいつも「若い」「成長」「経験」と言った言葉が付く。今の失敗を次につなげようとする、前向きな言葉だ。でも、この激励の言葉は、成長の妨げになるだけだ。相手だって若い。同年代の真剣勝負に負けたまでだ。
なかなかトーナメントの壁は打ち破れない。これは選手層の問題ではない。スポーツ文化の違いだろう。日本は学校スポーツで、私立の名門校のサッカー部には200人以上の生徒が在籍する。当然、補欠の方が多い。しかし欧州や南米にはクラブ文化。1チームにせいぜい30人程度が所属し、レギュラーとリザーブに分けられる。
補欠とリザーブの違いこそが、文化の違い。リザーブは試合に出る可能性があるが、補欠は試合には出られない。試合に出られない生徒は、そのまま3年間をその学校で過ごす。しかし海外は、自分よりうまい子が加入して、出場機会を失うと、他のクラブを探す。試合をこなさないと、サッカーはうまくならない。これが学校スポーツとクラブスポーツの違いだ。
スペインは直前に欧州選手権を戦ったために、パリ五輪出場を辞退した選手が何人もいる。スペインとの差を埋めるのは、個人の努力だけでは限界がある。本気で五輪のメダルを狙うなら、日本のスポーツ・システムを変えないといけない。だってクラブは勝利が最大の目的だし、学校の部活は無事に卒業させることが第一だからね。(日刊スポーツ評論家)




