日本代表FW本田圭佑(31=パチューカ)が自身の「不要論」を歓迎した。出番がなく、W杯出場決定の瞬間をベンチで見届けたオーストラリア戦から一夜明けた1日、サウジアラビアとの最終戦(5日、ジッダ)に向けたさいたま市内での練習後「僕ら(香川)は必要なくなったと言われることになれば、またそれはいいことだと思う」と持論を展開した。

 大一番の90分間、本田はピッチの外で22歳のFW浅野、21歳のMF井手口の躍動を見つめた。

 「一番の収穫は、僕や(香川)真司がいなくても勝てたこと。統計的に見ても、僕や真司が出なければ勝てない試合が多かった。でも実際、勝ってしまった」

 本田と香川がW杯予選などの公式戦でそろって出場しなかったのは初めてだった。世代交代を印象づける一戦となったが、現状を悲観してはいない。「これが本戦だったら、サッカーやめようかなとか、もしかしたら考えていたかもしれない。でも本戦ではない。そういう意味ではベンチに座っているという今のプロセスはまさに過程」。目指すところは来年6月に定まっている。オーストラリア戦でサイドの浅野やFW乾がスプリントを繰り返す姿に「俺はしてないな、とか。危機感を与えてくれることに感謝している」と受け止めた。ピッチにいない時間さえも成長の場と捉えた。

 再びレギュラーを奪い、W杯でイタリアと対戦することを望んでいる。「イタリアの人たちの大半を認めさせることができなかった悔しさがある」。前所属のACミランで自分を批判した人々を見返し、日の丸を背負ってもう1度輝きを放つには、プレーで示すしかない。本田は不要論をも力に変える。【岡崎悠利】