<親善試合:日本1-0ベトナム>◇7日◇ホームズ

 ザックが固まった。終了直後、テクニカルエリア最前線でポケットに両手を突っ込んで立っていたアルベルト・ザッケローニ監督(58)は約7秒間、視線をピッチに送ったまま、全く動かない。相手監督から握手を求められ、やっと我に返り、右手を出した。

 同監督の代名詞ともいえる3-4-3システムは、やはりオプションとしては使えず、前半で諦めた。試合後の会見では「スタートの位置が正確ではなかった。毎日練習できているわけではないし、あまり焦ってはいない」と強がってみせたが、声に張りはなく、普段より声のトーンも下がっていた。代表活動中以外でも同監督と行動を共にすることが多い通訳員も、普段より小声で監督のコメントを訳した。

 後半開始で4人も選手を入れ替え、タッチラインで交代出場待機中だったハーフナーは、守備陣が足をつるアクシデントとタイミングが重なり、出番を見送られた。システムとともに、選手のテストも満足にできず、消化不良でベトナム戦を終えた。

 「3バックはこれからもフレンドリーマッチで使って精度が高まったら、公式戦でも使えるようにしたい。どれだけ時間がかかるかは、分かっている」。タジキスタン戦に向けたシミュレーションのはずだったが、結局1試合を消耗しただけで終了。本番は再び4バックに戻し、MF遠藤ら、レギュラーの力に頼るしかない。【盧載鎭】